腎・泌尿器urology

腎・泌尿器

腎・泌尿器

腎臓、尿管、膀胱、尿道などの疾患が対象となります。一般的には多尿、頻尿、残尿感、血尿、匂いのきつい尿、尿漏れなどが、腎・泌尿器疾患に多いです。しかしこれらの症状でも、実は内分泌疾患や神経疾患だった、ということもよくあります。また逆に、一見して泌尿器症状ではなさそうな、元気がない、吐き気がある、痩せてきた、便秘気味などの症状が泌尿器疾患によるものだったケースも多くあります。これらを確定診断するために、尿検査、さらに血液検査、レントゲン検査、エコー(超音波)検査などを行っていくことが大切です。

よくある症状

  • おしっこの回数や量が多い
  • おしっこが出にくい、トイレが長い
  • 血尿をする
  • 元気、食欲がない
  • 吐いている

など

よくある腎疾患&泌尿器疾患

慢性腎臓病

中高齢の犬、特に中高齢の猫で発症することが多い病気です。腎臓の働きには

  1. 体内の老廃物や有害物質を尿として排出する
  2. 体内の水分やナトリウムのバランスを調整する
  3. 赤血球を作る

といった様々な役割があります。これらの働きをしていた腎臓の機能が衰えることで、老廃物などが体内にたまって全身に障害を起こします。衰えた腎機能は元に戻らないため、早期で発見して腎機能を温存できるかどうかがカギとなります。定期的な尿検査と血液検査で早期発見が可能です。

膀胱炎

ワンちゃんでは細菌感染が原因であることが多いですが、猫ちゃんでは細菌感染などの明らかな原因が見られない特発性膀胱炎が多いです。尿が少ししかでない、何度もトイレに行く、血尿などの症状が見られます。

尿石(腎結石・尿管結石・膀胱結石)

尿に含まれるさまざまなミネラル成分が結晶化し、腎臓、膀胱、尿道などの泌尿器で結石となり、さまざまな症状を引き起こす病気です。ストルバイト結石、シュウ酸カルシウム結石などが多く見られます。結石は砂粒くらいの小さなものから、数cmの固まりまでさまざまです。結石が詰まると強い痛みが出るだけでなく、「尿道閉塞」を起こして、命に関わることもある怖い病気です。尿石の種類によっては療法食で溶かすこともできます。療法食で溶かすことのできない尿石、または大きくなってしまった尿石は開腹手術で摘出します。

犬のストルバイト結石

尿道閉塞

尿道が何らかの原因で詰まり、排尿できなくなった状態です。尿道閉塞になると短時間で急性腎不全や尿毒症(尿から排出されるはずの毒性物質が体に回る状態)となり、治療を行わないと数日で死に至ります。気温が下がり、飲水量が少なくなる冬に増えてきます。おしっこが出ていないと思ったら、悩まずに動物病院に相談してください。

早期発見をするために

変化に気付くための日々の健康チェックを

「いつもよりおしっこの回数が多い」、「いつもよりおしっこが出にくい」、「いつもより飲水量が多い」といった症状は、『いつも』の状態を知っているからこそ気付ける変化です。変化に気付くためには、日々の健康チェックが欠かせません。

  • 1日何回おしっこをするか 
  • トイレにはどれくらいの時間入っているか
  • おしっこの色は何色か
  • 1日の飲水量はどれくらいか

などを、日々気にしてあげてください。そして「いつも」と違う場合は、様子を見ずに動物病院に相談しましょう。

定期的な尿検査と血液検査

尿検査をすることで大方の泌尿器疾患の原因がわかります。自然排尿での採尿ができれば動物に負担をかけることなく尿検査をすることができますが、採尿の仕方がわからないとご相談いただくことが多いです。

  • ペットシーツを裏返しておく
  • おしっこをしている時に容器やおたまでキャッチする

などの方法があります。詳しく知りたい場合はお気軽にお問合せください。ご自宅での採尿が難しい場合は、病院で採尿することもできます。また、腎臓疾患の早期発見には血液検査が有効です。慢性腎臓病の初期の段階で発見できる血液検査も最近は注目されています。衰えた腎機能は元に戻らないため、早期で発見して腎機能を温存するためにも、定期的な血液検査は大切です。

症例報告

【ウサギ】膀胱~尿道の尿石 ~急性腎不全に注意~

【犬】トイプードルの尿石症&尿石摘出術