消化器gastroenterology

消化器

下痢や嘔吐など、主に胃腸の病気に対応しています。下痢や嘔吐は病院へ行くべきかどうか、迷うことも多い症状だと思います。軽度なものから重い病気まで、原因は様々です。軽い症状のとき、私たちは「様子を見てください」と言うこともよくありますが、実は後で大丈夫かな?と心配しています。どんな状態であれば病院に行った方が良いか、飼い主様も不安だと思いますので、「こんな時に病院に相談してほしい」ということをお伝えします。

こんな時は動物病院に相談を

以下の症状がなくても不安な場合はお気軽にご相談ください。

3日下痢や軟便が続く

液状便、または形状の無い軟便が3日続くようであれば、一時的な消化不良ではなく、他の原因があるかもしれません。

便に粘液が多い

正常なウンチにもわずかに粘液は含まれますが、大量の粘液は腸管内が激しく炎症している可能性が高いです。

粘液便

大量の粘液は腸管の炎症が示唆されます。粘液が多い便が出た際はご相談を!

嘔吐や食欲不振もある

下痢や軟便以外の、嘔吐や食欲不振、元気不振といった他の症状もある場合、大きい病気が隠れている可能性があります。

誤食の疑いがある

誤食したものによって緊急度合が変わります。骨や竹串のような先の尖ったものを誤食した場合は、腸管内を傷つける恐れがあります。布などを誤食した場合は、窒息などの恐れがあります。チョコレートや玉ねぎなど中毒を起こす恐れのあるものもあります。誤食の疑いがある場合は、まずは動物病院までお電話でご相談ください。

よくある消化器疾患

たんぱく漏出性腸症

腸管内部から多量の蛋白が漏れ出てしまうことによって、血液中のタンパク質が少なくなる病気です。症状として慢性的な下痢が見られることが多く、その他栄養が十分吸収されないため、体重減少や元気消失、嘔吐、脱水がみられます。

炎症性腸疾患(IBD)

原因がはっきりせず、慢性的に(通常3週間以上)続く消化器症状を起こします。消化管が炎症を起こすことで、食欲低下、嘔吐、下痢、などの症状が見られます。遺伝的なもの、食べ物などの環境、腸内細菌の状態、自己免疫の反応などが複雑に関わることで発症すると考えられています。

胃運動障害

胃の動きが低下することで、内容物が胃の中に長時間とどまってしまう状態のことです。食後に毎回吐く、よくげっぷをする、食欲不振といった症状がみられます。他に基礎疾患がある、またはストレスが原因となってることが考えられます。

急性胃腸炎

突然嘔吐や下痢などが起こる一過性の胃腸炎です。胃炎または腸炎のみの場合は、胃炎では主に嘔吐が、腸炎では下痢(ときに嘔吐)がみられます。基本的に経過は良好で、多くは1~3日で自然に治まります。少し長引く場合でも皮下点滴などの治療で治っていきます。ただし、嘔吐や下痢は他の病気が隠れていることもあるため、注意が必要です。

巨大結腸症

慢性の便秘などによって、うんちが大腸に溜まり、異常に拡張した状態をいいます。大腸本来の機能を失ってしまい、自力でうんちができなくなることもあります。溜まった便を出す処置を行い、予防として繊維の多い食事を与えることをおすすめします。

確定診断をするために

下痢・嘔吐の原因はとてもたくさんあります。病院で行っている全ての検査を行えば、確かに診断できることは多いです。しかし、検査には費用が掛かりますので、いきなり全てを実施することはありません。どの検査を優先して行うかは身体検査と飼い主様からの情報が頼りです。何か変なものを食べていないか、嘔吐や下痢がいつからどの程度あるのか?など、ペットの状態をお知らせください。