腫瘍tumor

腫瘍

ワンちゃんもネコちゃんも6歳くらいから腫瘍性の疾患が増えてきます。飼い主様が気付きやすいものは皮膚にできる腫瘍です。皮膚にできるしこりは非腫瘍性のものから悪性の腫瘍のものまで様々ですが、一般的に急速に大きくなったり次々と増えたりするものは悪性腫瘍の可能性が高く、注意が必要です。また、腫瘍は進行するまで無症状であることが多いため、初期のうちに異常に気付くことができるように、日々ワンちゃん・ネコちゃんを触ってあげてください。また表面ではわからない内臓にできる腫瘍などは、定期的な血液健康診断やレントゲン検査をすることで早期発見することが可能です。

皮膚腫瘍によくある症状

  • できもの、しこりがある
  • 炎症がある
  • 腫れている
  • 出血している
  • 痛がるそぶりを見せる
  • 腫瘍は発生部位によって症状が異なります。
  • 上記はあくまでも皮膚腫瘍によくある症状です

よくある腫瘍

乳腺腫瘍

乳腺にできる腫瘍で、避妊手術をしていない中年期以降の女の子によくみられる腫瘍です。ワンちゃんの場合、良性腫瘍が約 50%、悪性腫瘍だが転移しにくく手術で根治可能なものが約25%、悪性腫瘍でかつ転移・再発の危険性の高いものが約 25%の割合と言われています。猫ちゃんでは悪性腫瘍である確率がが85~90%程もあるといわれており、乳腺に腫瘍ができた場合は積極的に摘出手術することをお勧めしています。悪性の場合は局所再発、リンパ節や肺への転移もあります。治療の第一選択は、外科手術による腫瘍の切除です。繁殖を考えていない場合は、発症リスクを下げるために避妊手術することをお勧めします。避妊手術についてはこちらから

猫ちゃんの片側乳腺全摘出術前
術後。広範囲に切除するため痛々しいです、、、

肛門周囲腺腫

肛門周囲腺が腫瘍化した良性の腫瘍です。去勢していない高齢の男の子によくみられます。肛門周囲を気にして頻繁に舐めたり、腫瘍から出血がみられたり、感染が起こります。良性のため転移はしませんが、腫瘍はゆるやかに大きくなっていき、排便がしにくくなります。治療の第一選択は、外科手術による腫瘍の切除です。繁殖を考えていない場合は、発症リスクを下げるために去勢手術することをお勧めします。去勢手術についてはこちらから

肛門周囲腺腫摘出前
肛門周囲腺腫摘出後

肥満細胞腫

皮膚や皮下に多くみられる悪性腫瘍です。悪性度や進行度はまちまちで、腫瘍の悪性度によって最適な治療法も変わってきます。悪性度を知るためには、腫瘍組織を採取して病理検査を行う必要があります。一番の治療法は、皮膚にできた腫瘍を外科的に切除することです。悪性度によって、放射線治療や化学療法を行うこともあります。

肥満細胞腫摘出前
肥満細胞腫摘出後

脂肪種

皮下の脂肪が異常に増殖して「しこり」を形成したもので良性腫瘍です。数年かけてゆっくりと大きくなっていきます。良性の腫瘍なので健康に害を与えることは少ないですが、脂肪種ができる場所によっては歩行を影響を与えるなどもあります。似たような症状として、悪性リンパ腫や肥満細胞腫、線維肉腫などもあり、これらは悪性なので注意が必要です。

リンパ腫

白血球の1種であるリンパ球が腫瘍性に増殖する悪性腫瘍です。わかりやすいものでは全身の主要リンパ節が一度に腫れます。リンパ腫は全身をめぐる血液の細胞である白血球が腫瘍化するため、体の様々な場所に発生する可能性があります。その発生する場所の違いによって、症状や治療に対する反応、予後が変わります。細胞診や病理検査をすることで確定診断します。現段階では、リンパ腫の治療は根治(完治)目的ではなく、緩和(寛解)目的になります。

「しこり」に一早く気付くために

定期的に以下項目をチェックして、飼い主様の手で腫瘍の早期発見に努めていただければ幸いです。

皮膚・できものやしこりがないか
・炎症がないか
・腫れがないか
・出血がないか
・痛がらないか
・しこりが急に大きくなっていないか(経過観察の場合)
お腹・触ったときに痛がらないか
・不自然な腫れや膨らみやしこりがないか
※雌犬の場合は、乳腺にしこりがないかをしっかり確認する
・痛がらないか
・腫れがないか
・脚を舐めるないか
・しこりがないか
※指の間や肉球の間もしっかり確認する
リンパ節・コリコリしたしこりがないか
※脇の下や鼠径部、顎の下などリンパ節のある部分を確認する

また、表面に現れない腫瘍の早期発見をするために、定期的な健康診断をお勧めします。

症例報告

【犬】トイプードルの 繊維付属器過誤腫 ~良性か悪性か見分けが難しい皮膚腫瘤~

【猫】皮膚の肥満細胞腫 ~しこりに注意~

【犬】肛門周囲腺腫の切除術

【犬】頭部にできたイボ「皮脂腺腫」