症例case

【猫】皮膚の肥満細胞腫 ~しこりに注意~

19歳の猫ちゃんの皮膚にできた肥満細胞腫についてご紹介します。

猫ちゃんの肥満細胞腫とは?

肥満細胞と呼ばれる細胞由来の悪性腫瘍です。肥満細胞腫は皮膚にできる「皮膚型肥満細胞腫」と、脾臓や消化管など内臓にできる「内臓型肥満細胞腫」があります。

■皮膚型肥満細胞腫

猫ちゃんの皮膚腫瘍の中で2番目に多く、猫の皮膚腫瘍の15~21%を占めるともいわれています。皮膚にできる肥満細胞腫は悪性度が高いものと低いものと様々です。

中~高齢で発生が高くなり、頭部や頚部などに小さなできものがみられることが多いです。初期は痒みや痛みといった症状が少ないため、飼い主様が気付かないこともあります。できものが1つだけという場合は、外科手術して切除することで、良好な経過を辿ることも多いです。

初期の内から早く気付けるように、日ごろから体を触ってチェックしてあげましょう。

<症状>

・皮膚に1つ~複数のできものがある

・痒み

・出血 など

■内臓型肥満細胞腫

内臓型肥満細胞腫は経過が悪いものが多いです。脾臓や腸管、肝臓など様々な臓器にできますが、中でも脾臓での発生が一番多いといわれています。肥満細胞からは、ヒスタミンやヘパリンなど、血管に作用する物質が分泌されます。その影響でヒスタミンの分泌により胃酸が過剰に分泌され、胃潰瘍などが生じることがあります。リンパ節等への転移の有無によって病期のステージが分類されます。

<症状>

・食欲不振

・体重減少

・嘔吐 など

猫ちゃんの肥満細胞腫の診断

見た目だけでは腫瘍かどうかの判断はできません。FNA(針生検)で細胞を採取して、染色して、顕微鏡で確認いたします。

細胞診で診断がつかない場合、病理検査を行います。外科的に切除した組織を外部の専門家に評価してもらいます。

また、必要に応じて血液検査や血液凝固検査、X線検査、超音波検査などで転移の有無の確認、腫瘍のステージ分類を行います。

猫ちゃんの肥満細胞腫の治療

■外科手術

肥満細胞腫ができた皮膚や臓器を外科的に切除します。腫瘍を直接切り取るので、最も即効性があります。そして、全ての腫瘍細胞を摘出できれば、健康体に戻れます。

しかし、転移している場合は腫瘍を取りきれない場合も多くあります。また、悪性の腫瘍ほど「しこり」そのものよりも大きく切除する(マージンを取る)必要があります。

■放射線療法/化学療法

外科的に切除困難な場所に腫瘍ができている、一度にたくさんの腫瘍ができている、腫瘍が大きすぎて切除できない、転移している、などといった場合は、化学療法が選択されます。 放射線治療を行う場合は、大学病院など専門の病院でのみ行っています。

■分子標的薬

肥満細胞腫の場合、がん化した細胞にだけ働く分子標的薬という薬を選択することもあります。

今回の猫ちゃんの肥満細胞腫とは?

頭部に赤い腫れがあるという主訴でした。腫瘍を疑い、FNA(針生検)を行ったところ、肥満細胞腫の疑いがあり、外科手術で切除を行いました。切除した細胞を病理検査に出したところ、肥満細胞腫との診断でした。

<手術前の写真>

<手術後の写真>

皮膚型の肥満細胞腫で悪性度が低い場合は、最小限の切除範囲でも良好な経過となることが多いです。今回の猫ちゃんはこのまま様子見をしています。

最後に

肥満細胞腫には、有効な予防法はありません。そのため、肥満細胞腫の治療は早期発見、早期治療が重要です。

皮膚にできる肥満細胞腫は触ることで気付くことができることも多いので、日々の健康チェックとして、愛猫の身体を触って、できものがないか確認することが大切です。但し、虫刺されのような見た目のものもあるので、見た目だけで判断することは避けましょう。

内臓にできるものは症状が出にくく、病期が進行するまで気づかれないことが多いです。そのため、高齢になったら、レントゲン検査や超音波検査を含めた健康診断をしていただくことをおすすめします。

少しでも気になることがありましたら、お気軽に当院にご相談くださいね。