症例case

【犬猫】眼の角膜の傷(角膜潰瘍)

ワンちゃん、ネコちゃんの角膜潰瘍ってどんな病気?

角膜潰瘍とは、角膜に外傷ができてしまい、そこへ細菌が侵入して炎症を引き起こす病気です。角膜は眼球内に光を取り入れる中で最初に光が通る透明なドーム状の膜であり、外側から角膜上皮、基底膜、角膜実質、デスメ膜、角膜内皮で構成されています。また、潰瘍が進行すると、角膜に穴が開く「角膜穿孔」となり、失明する可能性もあります。

原因は?

原因の多くが、どこかに目をぶつけたり、爪で引っかいたり、木の枝が当たったりと目の外傷が原因で起こることが多いです。また、細菌・ウイルス・真菌などによる感染もあります。

他にも、内側に向かってまつ毛が生えてしまうこと(逆さまつ毛)による慢性的な刺激や、トリミング中のシャンプーやドライヤーの刺激によって引き起こされる可能性も考えられます。

これは、どの動物にも起こります。特にワンちゃんに多く、シーズーやフレンチブルドック、パグ、チワワなど目が大きい種類や短頭種とよばれる鼻が短い犬種に多くみられます。

症状は?

症状は、眼の痛み、流涙と目やに、眼の赤み、瞳孔が小さくなる、目の表面全体が白っぽく見えるなどがあります。目の痛みでは、まぶたのけいれんは代表的な痛みのサインです。異常のある方の眼が閉じたままの状態になったり、気にして前足で眼をひっかこうとしたり、顔を床にこすりつけるしぐさが出ることもあります。また、普段よりも涙、目やにが増えたリドロドロと膿んだ目やには感染が強く疑われる状態です。

検査方法は?

専用の染色液(フルオレセイン染色)を使用して検査をします。角膜は上皮、実質、内皮の3層で構造されており、角膜上皮の欠損や上皮の細胞同士の接着が弱いところに染色液が浸透することで、角膜が傷ついているかどうか調べる検査です。

また、涙を染めることで鼻涙管という涙の通り道が正常かどうか、涙の層がきちんとあるかどうかを調べることもできます。

ワンちゃん
猫ちゃん

治療法は?

初期には抗生物質の点眼と、角膜を保護するための点眼で治療をします。表層だけの軽い潰瘍の場合、1~2週間で改善します。 深い角膜潰瘍により角膜実質が欠損している場合は、外科的に治療を行うこともあります。

予防法は?

角膜に傷が付く恐れのある毛やまつ毛は、定期的にカットしたり抜くことで、気付かないうちにできる角膜潰瘍の対策になります。他にも、シャンプー液が目に入らないように心掛けるようにすることも大切です。また、体の抵抗力が落ちたり、大きなストレスがかかったりしたときも角膜潰瘍を発症しやすくなります。

一度、角膜潰瘍になると繰り返す場合があり、角膜潰瘍で重要なことは、早期発見、早期治療、そして治療をしっかり行い、こまめに通院することです。目に関しておかしい様子が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。