猫ちゃんの目にシミのような模様?
下の写真のように、虹彩と呼ばれる部分に茶色いシミを発見した際は要注意です!
この茶色いシミは虹彩メラノーシスと言います。虹彩にあるメラニン色素を持った細胞が増加することで、写真のようなシミ模様となり現れます。虹彩メラノーシスは進行速度が遅く、数年単位でゆっくりと拡大していきます。ただし、基本的には、「色素が虹彩に沈着した状態」であり、それほど危険性はありません。
<虹彩メラノーシスの症状>
- 目に茶色いシミ(メラノーシス)のような模様がみられ、色素が沈着した状態である
- シミ(メラノーシス)模様の拡大速度は遅く、数年単位である
なぜ要注意なのか?
シミの範囲の拡大速度が速く短期間で拡大する場合や盛り上がりがある場合、瞳孔の形に変化がみられた場合は「悪性メラノーマ」と言う悪性腫瘍(ガン)である可能性があります。
稀ではありますが、虹彩メラノーシスが悪性メラノーマに転化することがあります。悪性メラノーマは進行速度が速く、数日から数カ月ほどで拡大して行きます。目だけではなく、他の臓器や器官、リンパ節にまで転移する可能性のあるとても危険な腫瘍です。
対応や処置が遅れると、“猫ちゃんの命”に関わってきます。少しでも気になる症状が見受けられた場合は、病院での診察をおすすめいたします。
<悪性メラノーマの症状>
- 黒い斑点のようなシミ模様がみられ、色素が沈着した状態である
- シミ模様の拡大速度は速く、数日から数か月ほどで変化する
- シミに盛り上がりがあったり、瞳孔の形に影響を及ぼす
診断について
当院では<定期検査>をおすすめしております。なぜなら、虹彩メラノーシスと悪性メラノーマを見分けることはとても難しいからです。
虹彩メラノーシスがいつ悪性メラノーマに変化するか分かりません。そのため、定期的に猫ちゃんの目を観察し、シミの範囲が拡大していないか、盛り上がってきていないかどうかを確認し、判断していく必要があります。
メラノーマ(腫瘍)を早期発見し治療をするために定期的な眼科検査をおすすめしています。
治療について
<虹彩メラノーシスの場合>
シミの拡大速度に注意しながらの経過観察となります。もし目にシミがみられた場合は、可能な限り猫ちゃんの目の写真を撮ってください。そして過去の画像と比較し、拡大速度や色の変化をみていく必要があります。
<悪性メラノーマの場合>
定期検査にて、目のシミ(メラノーシス)の拡大速度が速い場合や、シミに盛り上がりができてきたり、瞳孔が変形する、眼圧が上昇するなどの兆候を認めた場合、悪性メラノーマの可能性が高いと判断します。この場合、苦渋の決断ではありますが、眼球摘出手術を行います。悪性メラノーマは転移しやすい腫瘍であるため、猫ちゃんの命に関わってきます。猫ちゃんの生存期間に影響を及ぼさないためにも、早期発見と手術が必要です。
ひとこと
繰り返しになりますが、虹彩メラノーシスはいつ悪性メラノーマに変化するか分からないため、診断がとても難しい疾患です。目に茶色いシミや黒い斑点模様が出始めた時は、“シミの範囲がどれほどの速度で拡大しているのか”がとても重要な判断基準です。そのため、飼い主様の協力が必要不可欠です。
日頃から猫ちゃんを良く観察し、気になる症状があれば写真を撮って画像として残すようにしてください。そして、少しでも気になる症状が見受けられた場合は、病院での診察をおすすめします。