症例case

【猫】疥癬ってどんな病気?(皮膚疥癬症)

疥癬(かいせん)とは

猫ちゃんの疥癬とは、ネコショウセンコウヒゼンダニというダニの寄生が原因で引き起こる皮膚病です。ヒゼンダニは皮膚にトンネルを掘り、そこに寄生する寄生虫です。このトンネル内で生活をするので、うんちや分泌物が溜まっていきます。そして、これらのうんちや分泌物が原因でアレルギー反応を引き起こし、非常に強い痒みが生じます。ヒゼンダニは宿主特異性が強く、ヒトや犬に寄生し増殖することはありませんが、感染性がとても強いため一時的ではありますがヒトにも感染する(偶発的感染)可能性はあります。

疥癬の特徴 チェック項目

以下のような症状はありませんか?

  • 皮膚が硬くなった
  • フケや発疹がみられる
  • 皮膚に赤いブツブツがある
  • 激しく掻く
  • 掻きむしった部分が出血し化膿している
  • 皮膚がゴワゴワになり老けたように見える
  • 頭を振るようになった
  • 顔がシワシワになった
  • 触ると手に抜け毛やかさぶたがくっつく

猫ちゃんの疥癬はとにかく激しい痒みを伴います。皮膚に炎症が起こることで皮膚が硬くなり、赤いブツブツがみられたり、ゴワゴワとした手触りになっていきます。重度の感染になってしまった場合、命に関わってくることもあります。もし上記のチェック項目に当てはまる場合は動物病院へ受診することをおすすめします。

疥癬になってしまう原因

疥癬になってしまう原因は主に直接的感染と間接的感染の2つあります。

直接的感染

疥癬は野良猫ちゃんに多くみられます。頻繁に外へ出かける家猫ちゃんが野良猫ちゃんと直接接触した場合、ヒゼンダニが感染する機会が多くなってしまいます。

間接的感染

自宅以外でヒゼンダニに感染した野良猫ちゃんを抱っこした際、ヒゼンダニが洋服等に付着したことに気づかないまま自宅へ持ち帰り、そのまま飼い猫ちゃんへヒゼンダニが感染し疥癬になってしまうケースもあります。

疥癬の治療法

お薬の投与(スポットオン製剤)

疥癬の治療薬として認可が取れているわけではないのですが、ノミの駆虫薬の一種であるセラメクチンという成分に効果が認められることがわかりました。2週ごとに3回、液体の薬を肩のあたりの皮膚につける(スポットオン)ことで駆虫できます。ヒゼンダニの卵には効果がないため、間隔をあけて複数回投与することが必要です。<適応外治療であることをご了承ください。>

野良猫ちゃんについて

疥癬はヒゼンダニを駆虫してしまえば、毛が生えそろい、皮膚もきれいになります。病院に連れてくることは難しいけれど、さわらせてくれる野良猫ちゃんであれば治療が可能かもしれません。その子がどんな状態か分かるような写真を撮って見せていただき、疥癬が疑わしい場合はお薬をお出しすることもできます。

症例

疥癬になってしまった猫ちゃんと顕微鏡で見たヒゼンダニの画像です。

おでこの皮膚はシワシワになっており、おでこと鼻の頭の毛は掻きむしったのか抜けてしまっているのがわかります。

このような症状がみられる場合は疥癬である可能性がとても高いです。

まとめ

疥癬はとにかく激しい痒みをともないます。痒い日々が続くことはとてもストレスになりますし、他の感染症になるリスクも高くなります。猫ちゃんのためにも、疥癬が疑われる場合は動物病院へ受診することをおすすめします。