乳歯遺残とは?
人間と同様に、わんちゃんも子犬の時期に乳歯から永久歯へと歯が生え変わります。本来であれば抜け落ちるはずの乳歯が、生後4~8ヶ月の生え変わりの時期を過ぎても抜け落ちずにそのまま残ってしまい、新たに生えてきた永久歯と併存してしまうことがあります。これを乳歯遺残と言います。
チワワ、トイ・プードル、ポメラニアン、マルチーズなどの小型犬によく発生します。
乳歯と永久歯の数は表の通りです。
乳歯では後臼歯はなく、生え変わり時期後半に徐々に生えそろっていきます。
そのままにしておくとどうなるの?
乳歯と永久歯とが重なり合っている部分は特に歯垢・歯石が付きやすくなります。歯垢・歯石がより付きやすくなっている分、歯周病のリスクもさらに高まってしまいます。
乳歯遺残の治療
歯科手術による抜歯を行います。一般的には避妊・去勢手術のタイミングで抜歯することが多いです。その際に、乳歯が折れないよう、永久歯を傷つけないよう注意しながら、乳歯の歯根から歯全体を取り出します。場合によっては、歯肉を一旦切開して骨を削ってから乳歯を取り出すこともあります。
乳歯遺残の症例
今回ご紹介するのは6ヶ月の柴犬。不妊手術時に上顎の犬歯の乳歯が残っていました。歯は動揺しておらず、自然に抜ける気配がなかったため、不妊手術の麻酔のついでに抜歯を行いました。
乳歯遺残は歯周病や不正咬合の原因となりうるため、永久歯が萌出すべき時期になっても適切に乳歯との交換が行われない可能性が高い時には、不妊・去勢手術時に同時に抜歯(特に前歯<切歯>とキバ<犬歯>の子供の歯が残っている時)することをお勧めしています。