症例case

【犬】東洋眼虫症

今回はワンちゃんに寄生していた東洋眼虫について紹介します。

東洋眼虫とは?

東洋眼虫とは犬や猫の目の表面に寄生する線虫のことで、ヒトに寄生することもあります。体長は10~15mm程度で白い色をしています。メマトイ類というハエの仲間が涙を吸いに来た時にうつされます。おうちの中で生活するワンちゃんが増えてきたので一昔前に比べると患者数は減ったような気がしますが、西日本を中心に時々遭遇する寄生虫です。最近では関東での報告もあるようです。

<症状>

結膜炎をおこし、慢性的な目やにが出ることが多いです。

<治療>

点眼麻酔をして、目の表面や結膜、瞬膜の裏にいる東洋眼虫を摘出していきます。

<経過>

一般的に虫体が全て摘出された後の経過は良好の事が多いです。ただし、取り残しがあると目やにが続くことがあります。また、同じような環境で生活を続けていると、再寄生させられることもあります。

今回のワンちゃんの患者様は

1週間くらい前からネバネバした目やにが両目から出ているとのことで来院されました。実際に両目のまぶたの下にクリーム色の目やにがついていました。

まぶたを広げて目の検査を始めたところ、結膜炎がすぐに目につきました。まぶたを少しめくってみると、何やらうごめいているような、、、

目の中央付近とまぶたの左下付近に東洋眼虫がいます

写真のように出てきているもの以外にも、結膜のひだの間や奥のくぼみ、瞬膜の裏にも潜んでいます。拡大鏡を使用し、入念に虫を探します。患者様もすごく我慢してくれたので、発見したものは全て摘出しました。今回は左右の目合わせて10数匹取り除きました。

摘出した東洋眼虫の一部です。

結膜炎と目やにが落ち着いてくれますように。

目やにが多い、涙が多い、目が赤い、目をしばしばするなど、気になるような症状が見られたときは早めにご相談ください。