うさぎの足底皮膚炎
うさぎは犬・猫と違い足の裏に肉球がなく、そのかわりに分厚い毛が生えています。様々な要因により毛が抜けたり、薄くなると皮膚が露出してしまうので、表面に傷ができやすくなり、炎症を起こしてしまいます。重篤化すると潰瘍ができてしまい、痛みが生じて普通に歩けなくなることもあります。
普段からうさぎを抱っこしたり、触れ合う時間の多い方は、足裏の脱毛や皮膚炎に気づきやすいかもしれません。一方で抱っこが苦手なうさぎの場合は、足の痛みが強くなり、引きずるような歩き方になるまで気付けない、ということもあります。
足底皮膚炎の症状
以下の流れで進行していきます。
足裏の被毛が薄くなる
↓
炎症を起こして赤く腫れる
↓
足底の皮膚が厚く硬くなる
↓
潰瘍ができる
↓
かさぶたになる
↓
かさぶたの下に膿が溜まる
状態が悪化すると痛みが生じて歩きたがらなくなったり、痛みから食欲不振になることもあります。
足底皮膚炎の原因
物理的・生体的・環境的要因が関与します。
①物理的要因
ケージ内の金属製の床材や室内のフローリング、コンクリートなどの硬い床と接触する際の圧迫
②生体的要因
肥満、高齢(あまり動かず、同じ姿勢で足底をついていることが多い)、過度のスタンピング(足をタンタンと鳴らす行動)
③環境的要因
尿や便などによる床材や足の汚染
足底皮膚炎の治療法
①ケージの床の改善
床材を柔らかくしたり、チップや牧草を厚く敷くなど足の裏への荷重を軽滅する。また床環境を清潔に保つ。
②患部の洗浄&薬
患部を洗浄・消毒して乾燥させ、必要に応じ抗生物質や消炎鎮痛剤を投与する。包帯を巻いて保護することもある。
③減量
肥満であれば食事療法により体重を減らす。
いずれの治療を行っても、治癒にはかなりの期間を要します。また、足底皮膚炎は進行してしまうと完治が難しく、悪化を防ぐことが重要です。
足底皮膚炎の予防
①足に負担をかけない床材を選ぶ
元来うさぎは土の上で過ごす動物で、私たちの日常的な床で過ごすように進化していません。硬い床や滑りやすいフローリングは避けましょう。また、マットやカーペットを敷いて足への負担を軽減してあげましょう。(ただし、マットやカーペットにいたずらをして、間違えて食べないように気を付けてください。)
②床環境を清潔にする
排泄物で足が汚れないように、毎日トイレ掃除する。また、ケージの床もこまめに掃除するなどして、うさぎの足が濡れたり、汚れたりしにくい環境を整えてあげましょう。
③定期的に爪切りをする
爪が伸びるとつま先側に体重をかけられないため、かかとに負担がかかり、足底皮膚炎の原因となることがあります。
④適性体重を目指す
肥満は足に負担をかけるため、適性体重を心掛けてあげましょう。
⑤ストレスの軽減
うさぎはストレスによってスタンピングが増える傾向にあります。後足で力強く床を叩くため、足裏に負担がかかる原因となります。スタンピングが多いときはストレスの原因を探して、ストレス軽減に努めてあげましょう。去勢手術や不妊手術が有効なこともありますので、ご相談ください。
繰り返しますが、足底皮膚炎は一度できてしまうとなかなか治すのが難しい病気です。日頃から予防を徹底し、抱っこした際に時々足裏の状態もチェックしてみてください。